大統領失踪(上)/ビル・クリントン

 

大統領失踪 上巻

大統領失踪 上巻

 

 アメリカの元大統領であるビル・クリントン氏が著した作品。

まず、海外小説にしては、描画が簡素であるということ。海外作品は何かと細かく書かれている作品が多い中、やはり専門作家でないことがよくわかる。最近の日本の小説のスタイルに似ているかもしれない。

内容は、サイバー攻撃を受けつつあるアメリカで、ダンカン大統領に直接接触してくる謎の人物がいる。ダンカン大統領は単独でサイバーテロリストと交渉しようとする。その行為で、大統領の所在が分からないということになり、大統領が失踪したとマスコミに漏れる。キーワードとして、<ダークエイジ>というものがあり、そのワードがなぜ外部に漏れたか?サイバーテロリストの黒幕はどの国か?とか謎が多くあり、上巻だけではまだまだわからない。

作家でない人物が著した作品だが、アメリカの元大統領であり、話題性は抜群。でも、何か物足らない……。こんな映画ありそうであり、まだなかったのか判断がつかない。そもそも国家的危機にある中で、大統領が単独でテロリストと交渉するというのがイマイチ納得がいかない。あれだけの捜査機関があるアメリカで、大統領が単独行動とか、大統領はスーパーマンではない。ビル・クリントン氏の中で、人々を導く指導者はこうあるべきとかあるのかもしれない。しかし、何か英雄を求める集団的心理を元大統領が描くとか一つのアイロニーであるとしか思えないのだが……。しかし、謎をストーリーが展開される中での謎の提示は抜群で、続きが気になってはいく。どういう結末が待っているのかは、まぁ、ハッピーエンドなのだろうが、黒幕がロシアとか中国とか北朝鮮とか中東とか、よくある映画のパターンになっていて、残念に思うかもしれない。まだ、下巻に続く中で、先が読めないので、先に想像しすぎることはやめよう。

謎がどう解決していくか?続きが気になるので、下巻を楽しみに待とう。