【小説】魔術師/ジェフリー・ディーヴァー

 

魔術師 上 (文春文庫)

魔術師 上 (文春文庫)

 

 

 ジェフリー・ディーヴァー著の『魔術師』の上下巻を読んだ。

リンカーン・ライムシリーズの第5弾。アッと驚くどんでん返しが数多くあり、読者を驚嘆させる。

内容は、魔術師がイリュージョンを使い、様々な犯行を繰り返していく。ライムは、魔術とわかっていても、なかなか真相にたどり着かない。さらに、ライム自身にも危機が迫り、危うく命を落とすところだった。

マジックがテーマの本作であるが、マジックはタネを仕込んでいるから、出来るというイメージ。しかし、手錠を嵌められても、足を拘束されても、それから、容易に抜け出すことが出来たということだったが、そんなに簡単に出来るものなのだろうか?あっさりと書かれているだけで、もっと詳細に書いて欲しかった。イメージしにくい。

細かい点には不満があるが、マジックで何でもできるという前提に立って、内容を考えると、かなり面白いストーリーだった。人間の意識の捉われ方とかのマジックの基本概念とか、人間の葛藤、様々な因果関係を基にした科学推理を堪能できた。でも、作品が続いてきて、科学捜査の驚きは減ってきた。科学捜査の基本的な内容に慣れてきたからだろう。

この本だけを読んだら、マジシャンが完璧な犯罪者になれるみたいに思ってしまう。う~ん、そこまではないだろう。でも、マジックと犯罪と科学捜査がミックスするとこんなに魅力的な作品になるのか?という感じ。良質なミステリーで、このシリーズを読んで満足しない人はいないでは?と思ってしまう。まだシリーズは残っている。次の帰化に読もう。