【小説】石の猿(上)/ジェフリー・ディーヴァー

 

石の猿 上 (文春文庫)

石の猿 上 (文春文庫)

 

 ジェフリー・ディーヴァー著の『石の猿(上)』を読んだ。リンカーン・ライムシリーズの第4弾。

中国の密航船がアメリカに。その船にゴーストと呼ばれる蛇頭の頭がいた。ゴーストは国際指名手配をされており、リンカーン・ライムらはゴーストを捕まえようと捜査を開始した。

このシリーズは、アッと驚く展開が売りのシリーズなのだが、だんだんとその技法(読者の裏をかく)が頻繁に出すぎて、読むのに疲れるようになってきた。正統派の小説の中で、アクセントとしてその手法が現れるのならよいが、頻繁にはね。小手先の技術に頼りすぎてない?と穿った見方もしてしまう。本筋のストーリーは相変わらず、面白いが何か不満が残ってしまう。

20年ぐらい前の作品なので、まだアメリカ優位が圧倒してた時代。アメリカに希望を抱いた中国人。密航してまでもアメリカに渡りたいという願望。今の時代では、アメリカの幻想は、中国人の中で薄れてきているのかもしれない。

たしかに、安定して面白いリンカーン・ライムシリーズだが、1作目の衝撃には遠く及ばない。最新刊は第20弾ぐらいいっている?このシリーズの行き着く先とは?注目に値する。

【小説】ザ・フォックス/フレデリック・フォーサイス

 

ザ・フォックス

ザ・フォックス

 

 小説『ザ・フォックス』を読んだ。

国際謀略小説で、御年80歳の重鎮が書いた作品。

現実の出来事と小説が絡み合って、緊迫感があふれる作品となっているが、説明文が多すぎて、小説を読んでいる気がしない部分も気になった。

様々な国際ニュースとリンクされるアスペルガーの天才ハッカーの成果。しかし、本人は国に貢献する気はないみたい。こういう時に、アスペルガーの天才ハッカーがいるとして、国のハッキング行為に協力させることとかあるのだろうか?命も狙われているし……。しかし、アスペルガーで超人的な能力を得ているという設定は現実的なのだろうか?はっきり言って、スーパーコンピューターで出来ないことが出来る天才は存在するのだろうか?そういう意味では、著者は少し前の発想の持ち主なのかもしれない。天才の登場に憧れる時代は終わったと思うのだが……。

様々な国際的な人物が実名で挙げられている。北朝鮮金正恩など。しかし、ロシアだけ実名を使っていない。なぜなのだろうか?う~ん、逆に小説でも実名載せたら……どうにかなるの?恐怖心がかなり伝わってくる。

国際謀略小説。たしかにスパイ小説は面白いと思うが、内容は新しいが、形式が古くも感じた。80歳の重鎮が書いたから、仕方がないのかもしれない。古いスパイ小説ファンには垂涎ものの作品だろう。個人的には新書を読んでいる感じがした。

テロ勃発の危機

マーク・グリーに―著の『暗殺者の追跡(上)』を読んだ。

 

暗殺者の追跡 (上) (ハヤカワ文庫NV)

暗殺者の追跡 (上) (ハヤカワ文庫NV)

 

アクションシーンが多めな作品となっている。だが……わかりにくい。小説とアクションというのは相性が悪いのだろう。映画で見たら、一発でわかるものが、文章で読んでいたら、イメージが尽きにくい。

北朝鮮の科学者がペスト菌を使って、ロシアの諜報機関に利用されて、テロを起こすかもという内容となっている。北朝鮮とロシアという仮想敵国というアメリカのイメージはいまだに有効なのだろう。最近は中東の諸国を敵国として登場させる内容が増えているようなきがするが、最先端というのをキーワードに添えると、やっぱり敵国はロシアという感じになるのだろう。北朝鮮も絡めてきたところは、北朝鮮に対するイメージが先端科学にも適応していると返還してきたということなのだろうな。

アクションシーンが多すぎて、読みにくい上巻となっていた。細菌兵器がどうなったかとか気になるところはいっぱいある。それにしても主人公が目立たない作品と思う。綽名が”グレイマン”といい、意味は人目につかない男……小説内でも目立たせないのも1つの手なのか?下巻になったら、一気に活躍するかもしれない。下巻を楽しみにしよう。

日本の今後の行方は……

 濱嘉之著の『国境の銃弾』を読んだ。

警視庁公安部・片野坂彰 国境の銃弾 (文春文庫)

警視庁公安部・片野坂彰 国境の銃弾 (文春文庫)

 

 新シリーズとなった公安ものの警察小説。しかし、前シリーズとの差異がわからなかった。何か説明文が多くなったような気がする。それだけ、今の政治、特に外交に関して、言いたいことが沢山あったのだろう。

韓国の情勢に注視しているみたいで、韓国の現状を全く受け入れらていない様子だった。韓国の北との融和は間違っているのだろうか?韓国は北と仲良くし、中国との関係を蜜月にするか?それとも、日本と仲良くして、アメリカ側と強調していくか?その選択で、日本側とは別の思惑になっているので、韓国は批判対象なのだろう。日本は強く出るべきかどうかはわからない。日本が独自に判断して、行動するには、経済規模が大きすぎて、他国への影響もあるから、他国が黙っていないだろう。日本がもっと影響がもっと小さい国なら、誰も相手にはしないだろうな。日本ももっと小さい国になることを受け入れる?それにしては、日本政府は大企業の利益を最大限化する政策ばかり取り、世界への影響力を確保し続けるのに、必死なようだが……。

小説のストーリーは、ほとんど関係がないことばかりが展開される本作。かなり人を選ぶ作品となっている。エンターテイメント性が薄すぎるという不満が残ってしまった。このシリーズもこのような展開になるのだろう。

【読書】訣別(下)/マイクル・コナリー

 

訣別(下) (講談社文庫)

訣別(下) (講談社文庫)

 

 マイクル・コナリー著の『訣別(下)』を読み終わった。上巻を読んで、続きが気になりまくっていた下巻。でもね~。二転三転するストーリーが特徴とか評価されていて、小説を読んでいる最中に、あれ?もう、事件が解決したのだけれども続きは何があるの?とか純粋に物語を楽しむことなんて出来ない!!これから、ストーリーが逆転するのだろうとか予測してしまい、ちょっとだけ、自分の感覚に嫌気がさした作品でもある。

上巻であった2つの事件。金持ちのお爺さんの子孫探しと連続婦女暴行犯の捜査。この2つの物語が繋がるのか!!とか思っていたけども、独立した2つの物語だった。最近、伊坂幸太郎の『クジラアタマの王様』という作品を読んで、群像劇風の作風で最後に1つにまとまる形になるのというのを読んだばかりなので、そういうのを期待していた部分があったのだろう。独立した2つの物語でも全く問題がない。それぞれが同時進行している中での捜査であったりが緊迫感を生んでいた。上記したが、二転三転するのだろうという知識が植え付けられていたので、驚きはすくなかったのが悔やまれる……。これは、アガサ・クリスティの作品における犯行動機が一番濃い人物は犯人ではない。という知識といというか、読もうとする人が少ない作品なのだろう。読んでみたら、アメリカで評価されるのがすぐにわかる!!そんな作品だった。

二転三転するストーリーが売りとかある意味でネタ晴らしになっているような……。売る側ももっといいキャッチフレーズとか思いつかないものか?少し不満に思いつつもとても楽しめた作品だった。

【読書】訣別(上)/マイクル・コナリー

 

訣別(上) (講談社文庫)

訣別(上) (講談社文庫)

 

 マイクル・コナリー著の『訣別(上)』を読み終えた。この本は本屋で裏面の粗筋を読んでから、購入を決めた。海外小説も乱読しているが、マイクル・コナリーはどんな本を書いているのか?全く思い出せない。まぁ、そういう細かいことを考えずに読んだ本だった。

ハリー・ボッシュという探偵兼警察官が主人公の物語。探偵業では、金持ちのお爺さんが結婚はしていないが、息子がいるというので、その息子を探してほしいという依頼があった。同時に、警察の仕事では、連続婦女暴行犯の事案を捜査することになる。

今後は、この2つの出来事がどう繋がるかに期待している。色々と想像できる。金持ちのお爺さんの話は、息子がベトナム戦争で戦死はしているが、ここでも結婚はしていないが、息子に娘がいると。その娘が見つかった時に、連続婦女暴行犯が旦那だったとか!!無理やり引っ付けて考えただけなので、下巻ではどう物語が進んでいくかはわからない。しかし、この2つの出来事が繋がっているとは思っている。それがどういう関係か?著者紹介の文章では、二転三転するストーリーは評価が高いとあった。期待感がどんどん高まっていく!!下巻に進もう!!

余談だが、ボッシュボッシュの娘の親子関係も気になるところ。この辺りも注目したいと思っている。

こんなにがっかりしたのは東野圭吾の本だから?

 

希望の糸

希望の糸

 

 東野圭吾著の『希望の糸』を読んだ。

これ程にがっかりしたのは久しぶり。東野圭吾さんの本だから面白いはず!!発売日を楽しみに待っていた。読み終わって、不満が爆発しそうだった。

不満に思うことは、まずは登場人物が偽善に溢れすぎていること。体外受精で受精卵取り違えが発覚する。それで、生物学的に繋がりのない子どもを育てていた。そして、母親が白血病で死んでしまって、思春期を迎えた娘とのコミュニケーションの難しさを感じて、本当のことを話したほうが良いと思い悩む……意味が分からない。今更という感じ。最初から分かっていたのに、遺伝子上のつながりがないことが原因で、罪もない子どもに精神的な苦痛を与えようとしている父親はどうしたものか?その割には、子どもの幸せが大事であると偽善ぶっているし……。養子であっても生みの親より育ての親という言葉がある通りに、育ってきた環境が大事であると思う。もう一つは、料理人の男性がいて、母親と結婚。母親は老舗の旅館の跡取りを生まないといけないという話だた。そして、子どもが生まれたが、父親は別居する。理由は、母親がレズビアンだった。でも、母親が事故で身体的に障害を負ってしまった。責任感が強い父親は母親の看病をしないといけないのと旅館の経営もしないといけないということで、残りの人生を娘の成長と母親の看病に明け暮れる。何かおかしくない?母親はレズビアンであって、だまして結婚したのに、事故で身体障碍者になった母親のめんどうを見続けるとかあるものなのか?自分の娘に愛情があるならば、その家を出て、別の所で暮らしていくだろう。この父親は、良い人だかららしいが、ただ母親の旅館を手に入れたかったか、世間体を気にしてとしか思いつかないのだが……。こんな感じで、だまされても良い人だからということで、殊勝に献身的な行動をとる。こんな人間居ないだろう。陰で恨みつらみを吐き出していたと行間を読まないととか意見があるかもしれないが、なんで小説の不足部分を読み手が考えてあげないといけないのか?とも思う。この本は何かの啓蒙書なのだろうか?良い人すぎて、下らない内容だったという不満が爆発しそうだ。

これも東野圭吾さんのファンだったからだ。東野圭吾さんの本なら面白いのに間違いがないという幻想が崩れた瞬間だった。もっと期待していたのに……。これ以上、不満点を書いても仕方がないので、これで終わり!!